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偽物のChablis?!!

 

こんにちは。BELON渋谷です。

日差しも少し柔らかくなり、涼しげな風も吹き、秋が近づいてくるのを時折感じます。  

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さて、BELON渋谷では現在『Petit Chablis』をグラスワインリストに入れています。

最近、とあるお客様が

『このワイン、偽物のシャブリだから、、、』

とおっしゃっていました。

確かに、お客様のおっしゃりたい気持ちはよくわかる。

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しかし、ちょっとここで言いたい!

 

『Petit Chablisをご存じでしょうか?』

『Petit Chablisを飲んだことありますか?』

『そんなにChablisが正しいのでしょうか?』

 

シャブリは四つの階層で構成されています。

上から・『Chablis Grand Cru(特級畑)』

・『Chablis 1er Cru(一級畑)』

・『Chablis』

・『Petit Chablis』

名前の通りでいくと、

『Petit Chablis』は可愛らしい、リーズナブルなのシャブリといったところです。

 

お客様がおっしゃった様に、

『Petit Chablis』は『安い』や『格下の』シャブリと言われることが多々あります。

しかし、実際はChablisに比べて安いという訳でもなく、

そもそも日本で扱っているお店は非常に少ないです。

そして味わいはもちろんなのですが、

テロワールも大きく異なることがあまり知られておりません。

それを名前で『格下』と決めつけるのはどおなのだろう?とずっと感じていていました。

 

原因には、日本人の考える『Petit』と

フランス人の考える『Petit』に相違があるのでは?と思い、

フランス人に『Petit』のイメージを聞いてみたのですが、

やはり日本人と同じく『リーズナブルな』や『格安な』でした。

 

よくシャブリで言われるのが

『牡蠣の化石を多く含むキンメリジャン土壌で造られたワインで、

葡萄の樹が土壌の栄養分を吸い上げる為、牡蠣に合う』という売り文句です。

 

一見、キンメリジャン土壌とはシャブリ特有の土壌なのでは?

と、感じてしまいますが、実はそうではなく、

キンメリジャン期に堆積した土壌で

フランス南東部にある山岳地帯マシフ・サントラルの周縁部に沿って存在します。

有名なところですと

・シャンパーニュの南部コート・デ・バール

・ロワール上流のサンセール

コニャック地方

・ボルドー奥地のカオール

ラングドック地方にも存在します。

 

そして、牡蠣の化石を多く含むということは、

キンメリジャン期に、その場所が牡蠣の多く生息する河口、

海水と淡水の混ざる汽水域であったということを示しています。

 

特に牡蠣の化石が最も多くみられるのがChablis Grand Cruの丘で、

急斜面の為、表土も薄く、ダイレクトに化石を含むキンメリジャン土壌に根が達します。

また、Grand Cruの丘は南向き斜面の為、太陽光を一日中浴び熟度の高い葡萄が育ちます。

そして、Grand Cruの丘の上には森があり、冷たい北風を遮ります

その結果、他のクラスより0.5~1%潜在アルコール度数が高い葡萄が収穫できます。

『土壌のミネラリティ』と『熟度の高さ』、そこに『Grand Cru』たる所以があります

 

1er CruはGrand Cruの丘に比べると牡蠣の化石は少ないのですが、

シャブリの街を挟んでスラン川の左岸と右岸に存在し、

その土地を表現する多種多様な柔らかいキャラクターに仕上がります。

 

では、シャブリはというと、もちろんキンメリジャン土壌ではありますが、

表土が厚かったり、北向き斜面の畑ということもあったりします。

もちろん牡蠣の化石も多いわけではありません。

なので、逆に言うとChablisが絶対的という訳では決してありません。

 

さてPetit Chablisですが、主にChablisの周縁部にあります。

Chablisが1億5000万~1億5500年前のキンメリジャン土壌に対し、

1億4500万年~1億5000万年前のポートランディアン土壌からなります。

キンメリジャンが石灰と粘土が交互に重なる土壌なのに対し、

ポートランディアン土壌は化石を含まない石灰土壌からなります。

500万年ほど新しい土壌なので標高的に高い位置に存在します。

一般的に標高が100m高いと気温が0.4~0.6℃低いと言われます。

また、標高が100m上がると二酸化炭素の濃度が1%落ちます

これは標高が上がるほど、冷涼になり、また光合成がゆっくり進むことにつながります。

結果としてChablisに比べフレッシュなワインに仕上がります。

 

Chablisに比べライムなどのグリーンがかったシトラストーンが加わり、

また果実の状態も、成熟した樹になる完熟果実というより、

若い樹になるような、可愛らしく、チャーミングな果実。

ピュアでフレッシュな柔らかい印象

が感じ取れます。これこそ正にフランス語でいう『Petit』な果実です。

ここにPetit Chablisの『Petit』たる所以があるのではないでしょうか?

決して『安い』や『格下』のChablisではなく、

これがPetit Chablisの魅力ではないでしょうか?

 

またまた長くなりましたが、

そんな、ちょっとめずらし珍しいシャブリをBELON渋谷で飲んでみませんか?

 

 

                                                             par UTPN                                      

 

 

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